庭石加工技術
庭石は、組み合わせて全体を一つと見た時に、一体として見えるようにバランスを考えて据えてあります。楽庭では、誰が設置しても同じバランスになるように工夫をしています。その方法として、本来庭に埋めて高さを調整する石底の部分を切断加工しています。そのため、平らな場所に置くだけで最適なバランスに設置できるようになります。
また、蹲踞(つくばい)の手水鉢(ちょうずばち)には、水を溜めるための穴を掘ります。この穴の位置で蹲踞全体の見え方が変わってくるため、穴開け作業は非常に重要であり、高い技術を要します。
庭石を木製の土台にしっかりと完全に固定します。しっかりと固定していないと、この後大きな円盤状のダイヤモンドカッターで切断する時に、高速回転の力に負けて庭石が飛んでしまいます。そこで、さまざまな方向に木片を当てて釘で固定することで完全に庭石を固定する必要があります。
しかし、庭石は、最も適した庭のバランスになるように予め切断する場所を詳細に決められています。よって、固定して切断すればよいわけではなく、あらかじめ決められた切断場所を正確に切断しなければなりません。その点も踏まえて、確実に庭石を固定します。
ダイヤモンドカッターは高速で回転して庭石を少しずつ削っていきます。その際に高温になり埃が舞うため、常に水を流して作業を進めます。
庭石は非常に固く緻密であるため、ダイヤモンドカッターを前後に少しずつ揺らしながら、徐々に下へと切断していきます。
庭石が完全に切断され、平らな断面ができました。このあと、仕上げの研磨作業を行おって出来上がりです。
切断面の縁は鋭く危険なため、研磨により縁取りを行います。縁取りにより安全に素手で触れる庭石となります。
手水鉢となる庭石には、切断した後に中央部に穴を彫ります。予め最も適した場書に印をつけて、コアカッターで真っすぐ彫ります。
庭石はしっかり固定して、中央部がずれないように注意します。コアカッターは高速で回転するため、高温と埃防止に水を流しながら作業を進めます。
高速で回転しながら少しずつ掘り進むコアカッター。削った石粉の混ざった水が飛び散ります。
コアカッターは中央部が中空になっているため、穴の外側のみ削って進みます。
指定の深さまで彫り進んだ状態の手水鉢。中央につけた印を囲むようにして円形の溝が彫れました。
ここから、中央部の円柱を取り除きます。
中央部の円柱は、まだしっかりと底がつながっているので、慎重に取り除く作業を行います。
周囲を傷つけないように、中央の円柱に傷をつけます。
つけた傷を手掛かりにして石のみで振動を与えます。振動により中央の円柱は取り除かれます。
円柱が取り除かれたら、石底を特殊な研磨機で削り滑らかにします。その後、切削した縁を面取りして、素手で触れるように仕上げます。