出雲の田園に映える築地松(ついじまつ)

 出雲には沢山の田がある。5月には一斉に田植えが始まる。水を張った田の水面には遠くの景色が反射して美しい光景が広がる。正面の背の高い生垣は、日本国内でも出雲にだけ見られる築地松(ついじまつ)と呼ばれる黒松の生垣。高さは10mを超す。かつてこの地は洪水が多い場所であった。家の周りに土を盛って土手を作ることで洪水から家を守った。土手が簡単に崩れないように木を植えて強固にした。治水が進んで洪水が起きなくなった今でも、先祖代々から引き継いできた築地松を大事にする出雲人の慈しみの心意気がこの風景を今に残している。


日本の島根県出雲市
2024年5月9日夕方撮影